
4年前に大規模土石流が下った、静岡県熱海市伊豆山地区の旧警戒区域=6月
大規模土石流が下った静岡県熱海市の旧警戒区域は、復旧に向けた河川や道路整備工事が遅れ、被災者の帰還が進んでいない。行政への不信感から工事用地の買収を拒む被災者もおり、県や市は2024年度末としていた工事完了時期を2年延期。復興計画の変更を求める声も上がる。一方、遺族らは慰霊碑建立を要望。記憶の風化を防ぐための取り組みが動き始めている。
▽先送り
23年9月まで原則立ち入り禁止となっていた同市伊豆山地区の旧警戒区域。家屋の跡地には草が高く生い茂り年月を感じさせるが、被災し壊れたままの家屋も残る。
市や県は同様の災害防止に向けた河川拡幅や道路整備を進めるが、工事に必要な用地買収率は6月末時点で河...
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