2020年7月、豪雨で球磨川が氾濫し、浸水した特別養護老人ホーム「千寿園」=熊本県球磨村
 2020年7月、豪雨で球磨川が氾濫し、浸水した特別養護老人ホーム「千寿園」=熊本県球磨村
 更地となった「千寿園」の跡地に手向けられた花=4日午後、熊本県球磨村

 九州に甚大な被害をもたらした2020年7月の豪雨では、熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」が濁流に襲われ、避難が間に合わず高齢者14人が亡くなった。災害への備えが注目され、避難確保計画の作成は増えた一方、実際に訓練する施設は半分に満たない。災害発生時に助かっても、水道や電気が長く不通となり体調を崩す事例も。有識者は「長期避難を見据えた計画作りが必要だ」と語る。高齢者施設の模索が続く。

 ▽高さ約3メートル

 「自分の身を守るだけで精いっぱいだった。どうにかして助けられなかったか」。球磨村職員の大岩正明さん(56)は今も後悔する。当時、避難を手伝うため千寿園に駆けつけたが、入所していた母ユウ...

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