ダガー賞の翻訳部門に選ばれた王谷晶さん(中央)。左は翻訳家のサム・ベットさん=7月3日、ロンドン(共同)
 ダガー賞の翻訳部門に選ばれた王谷晶さん(中央)。左は翻訳家のサム・ベットさん=7月3日、ロンドン(共同)
 ダガー賞の授賞式後、記者の質問に答える王谷晶さん=3日、ロンドン(共同)
 ダガー賞の授賞式を前にインタビューに答える王谷晶さん=3日、ロンドン(共同)

 英国の文学賞「ダガー賞」の翻訳部門で、作家王谷晶さんの「ババヤガの夜」が受賞した。男性社会の抑圧に対抗する物語が英語圏で人気になる中、女性の闘いを描く作品として支持を得たと識者は指摘。普遍的問題を描きながらも「異質」な日本小説が、英国でブームを巻き起こしていることも追い風になった。

 ▽潮流

 同作は日本で2020年に刊行。暴力団の会長令嬢・内樹尚子の護衛になった主人公の女性・新道依子が、男たちが支配する裏社会で尚子と信頼を築いてゆく物語だ。王谷さんは授賞式のスピーチで「はっきりとラベリングできない関係と人生」を書いたと語った。

 「男性的な暴力原理が働く社会で、女性がどう闘ってゆくのかを描いた作...

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