最高裁で違憲判決が出て「勝訴」などと書かれた紙を掲げる弁護団と原告ら=2024年7月
 最高裁で違憲判決が出て「勝訴」などと書かれた紙を掲げる弁護団と原告ら=2024年7月
 旧優生保護法違憲訴訟の上告審判決で、横断幕を手に最高裁に向かう原告と弁護団ら=2024年7月
 手話で不妊手術の経験を説明する田中完智さん=6月、仙台市
 手話で不妊手術の経験を説明する田中完智さん=6月、仙台市
 手話で不妊手術の経験を説明する田中完智さん=6月、仙台市
 手話で不妊手術の経験を説明する田中完智さん=6月、仙台市
 宮城県の村井嘉浩知事(右)と面会し、謝罪を受けた後に握手を交わす田中完智さん=2月、仙台市
 旧優生保護法の個別通知に関わる主な取り組み

 旧優生保護法下で不妊手術や人工妊娠中絶を強いられた障害者らへの補償が進んでいない。差別や偏見など、申請までに何重もの「壁」が存在するためだ。最高裁が昨年7月に旧法を違憲と判断してから1年。専門家は、自治体が申請を待つ「受け身」から被害者を掘り起こす積極姿勢へ転換する必要性を説き、「全ての人に国による謝罪と補償を届けるべきだ」と指摘する。

 ▽「あいつも…」

 聴覚障害のある田中完智さん(86)はろう学校に通っていた10代の頃、何の説明もなく下宿先から診療所へ連れて行かれて不妊手術をされた。「宮城県に相談窓口がある」。数年前、仙台市の福祉部署で手話通訳者に教えられ、2019年施行の一時金支給法に基...

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