多摩大学の開学時(1989年)、日本の高度成長を牽引した団塊世代が集積する近隣の団地・ニュータウンは、都心のベッドタウン機能を果たしていた。現在、四半世紀以上を経て、リタイヤした居住者が急速に高齢化するとともに、地域の活性化が大きな課題となっている。一次産業が至近距離にあり、高齢者の社会参画のプラットフォームを構築しやすい田舎の高齢化とは異質の大都市郊外型の高齢化の課題に立ち向かうという意味でも、寺島実郎監修リレー講座は高齢者参画型のプラットフォームとしての役割を果たしてきた。
2008年、寺島実郎学長は、多摩大学(東京都:多摩市)第5代学長に就任する際に、多摩大生に時代のダイナミズムを正面から真剣に伝えるべきだという思いと、これまで以上に地域社会に貢献していく試みとして、自らが監修者であり、講師としても登壇し、各界の碩学を講師として迎える講座を、毎年春と秋に12回ずつ開講してきた。
2008年度春学期から始動したリレー講座は今期で18年目になり、全420回を数える。延べ28万人を突破した参加者は、近隣のシニア層が主で、18年間毎期、通い続けている参加者もいる。春学期、秋学期合わせて24回、毎週木曜日14時50分から1時間20分の講座に、多摩キャンパスでは、約200人のシニアが、近隣からは歩いて、遠方からは、電車とスクールバスを繋いで参画している。男性シニアが圧倒的に多いが、女性シニアも熱心に受講している。毎週一緒に受講していることで、社会貢献活動を自主的に行っている受講者同士のコミュニティもできている。
受講の形態は、多摩大学の多摩キャンパスに来校するだけではなく、湘南キャンパスで同時ライブビューイング受講や、東京都千代田区にある多摩大学の九段サテライトでは、少人数で2日後に録画放映での受講、また自宅でのオンライン受講者数は、30代から80代まで、一番多くなっている。
シニアの年齢は、圧倒的に70代が中心となっており、オンライン受講を除いて、90代1%、80代18%、70代62%、60代16%、50代3%となっている。
自宅でオンラインでの受講では、シニアの70代と60代はほぼ同じ、80代7%、70代35%、60代34%、50代15%、40代4%、30代1%となっている。
80代で多摩キャンパスに通うシニアは積極的で、講座の参加者を対象に、毎年、農作業にて社会的役割を担う生活を体験する企画、『山梨県南アルプス市で「田植え」と「稲刈り」』に、猛暑も厭わず参加している。中には、施設で暮らす80代のシニアも参加している。
多摩大生は入学後、必修の授業としてシニア受講生と同じ教室で、リレー講座を受講する。200名の学生に、教員11人が対応しており、小規模大学のメリットでもある。学生には講座の内容をまとめるノートが配付されて、講座終了後に採点される。また、リレー講座終了後「交流サロン」を毎週開催して、多摩大生とシニア受講者が、飲み物やお菓子を食べながらリラックスして世代間交流ができる場を設けている。
今期、寺島実郎 学長が目指すテーマは「世界認識の再構築-歴史の鏡を磨き、近代の本質を捉え直す」
米国が「アメリカ・ファースト」の自国利害中心主義に回帰し、内向する世界に向かう今、日本人も視界を広げ、21世紀システムの創造という課題に向けて、我々は改めて「超克されるべき近代」を再考しなければならない。
18年目に入ったこの講座も、世界史の潮流を見つめ、「近現代」という歴史の鏡を磨く営為をさらに深める機会になることを期待している。
寺島実郎監修リレー講座XVIII 2025年秋学期は、10月9日(木)から始動する。
寺島実郎監修リレー講座 現代世界解析講座XVIII 2025年 秋学期
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学長室
高野 智
住所:東京都多摩市聖ヶ丘4-1-1
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