季刊誌「SHIP!」の創刊号を手にする上田理香さん(右から2人目)ら編集スタッフ=3月、東京都渋谷区
 季刊誌「SHIP!」の創刊号を手にする上田理香さん(右から2人目)ら編集スタッフ=3月、東京都渋谷区
 ひきこもり経験者が企画、編集、発行までを手がける季刊誌「SHIP!」の編集会議=3月、東京都渋谷区

 ひきこもり経験者が企画、編集、発行までを手がける季刊誌「SHIP!」が誕生した。これまで見過ごされてきた声なき声を丹念にすくい上げ、誰もが生きやすい社会への道筋を模索する。国も本人の「自律」を重視した支援指針を打ち出しており、立場を超えた対話が鍵となる。

 「社会の目から避難してきた」。発行人の一人で、20代の頃に断続的にひきこもった経験を持つ上田理香さん(53)は当時の心境をそう語る。

 大学卒業後、転職を24回繰り返した。就職氷河期世代で男女差別も色濃く残っていた。過重労働、パワハラ、派遣切り。動けなくなるたびに「自分はこの社会で何者でもない存在だ」と感じた。母も「社会のレールに乗せてあげら...

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