2024年のパリオリンピックの混合470級で銀メダルを獲得した岡田奎樹(手前)、吉岡美帆組=2024年8月、マルセイユ(共同)
 2024年のパリオリンピックの混合470級で銀メダルを獲得した岡田奎樹(手前)、吉岡美帆組=2024年8月、マルセイユ(共同)
 1996年8月、アトランタ五輪のセーリング女子470級で銀メダルを獲得した重由美子さん(右)と木下アリーシアさん(共同)
 日本A級ディンギー協会のホームページ(スクリーンショット)
 セーリング混合470級の図解
 横から見た470級=2024年8月、神奈川県藤沢市「江の島ヨットハーバー」
 男子470級最終レースでアテネ沖を帆走する関一人、轟賢二郎組(右から2艇目)(共同)
 アテネオリンピックの男子470級最終レースを終え、笑顔でポーズをとる関一人(左)と轟賢二郎=2004年8月、アギオスコズマス・ヨットセンター(共同)
 パリオリンピックの混合470級で銀メダルを獲得し記念写真に納まる(左から)岡田奎樹、吉岡美帆組=マルセイユ(共同)
 東京オリンピックの女子470級のレース。奥は富士山=2021年8月、江の島ヨットハーバー沖(了)

 日本のセーリング界で、世界トップクラスのレベルを誇る艇種(ヨットの種類)が、470(ヨンナナマル)級であることは疑問の余地がない。それは2024年のパリオリンピックで、日本にとってこの種目で3個目のメダルを獲得したことでも証明された。1996年のアトランタ大会で、重由美子・木下アリーシア組が女子で銀、2004年アテネ大会で関一人・轟賢二郎組が男子で銅、そして昨年のパリ大会の男女混合岡田奎樹・吉岡美帆組の銀。世界選手権でも日本勢は4度優勝している。470級以外の艇種では、五輪で8位入賞もない。なぜ、日本ではこのクラスだけが飛び抜けて強いのか。歴史をたどり、強さの背景を探ってみた。(共同通信=山...

残り4909文字(全文:5209文字)