講話で被爆当時の体験を語る小松宏生さん=2024年7月、栃木県高根沢町
 講話で被爆当時の体験を語る小松宏生さん=2024年7月、栃木県高根沢町
 広島の地図を指さし、被爆当時の足取りを説明する小松宏生さん=5月、栃木県那須烏山市
 被爆者の小松宏生さん(左)と話す孫の沙梨さん=5月、栃木県那須烏山市
 栃木県さくら市の東輪寺にある「平和の鐘」を突く小松宏生さん=2024年8月

 戦争体験者が年々減少し、2018年には栃木県の被爆者団体が解散した。その中で、県内に居住する入市被爆者の小松宏生さん(91)には、語り部として講話依頼が絶えない。被爆地から遠く離れた場所で自分の話が必要とされていると感じる。「自分の思いを、ぜひあなたの周りの人に語り継いで」と、各地の被爆者に訴えかける。

 小松さんは広島市生まれ。米軍が原爆投下した1945年8月6日は11歳で、爆心地から約20キロ離れた郊外の寺に疎開していた。朝、広島方面の空に飛行機が見え、次の瞬間ものすごい光に包まれた。頬に高熱を感じ、とっさに手で押さえた。「なんじゃろう。太陽とぶつかったんじゃ」。後にも先にも経験したことの...

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