
ミャンマー・ヤンゴンを走る路線バス=6月17日(共同)
乗降口の扉が開くと、乗客の間をすり抜けるようにはだしの少年たちが入ってきた。6月中旬、ミャンマーの最大都市ヤンゴンを走る路線バスの車内。少年は乗客に封筒を配り始めた。「父親を亡くしました。食事や衣服のお金を恵んでください」。そう書いてある。3月の大地震が内戦に追い打ちをかけ、貧困が急拡大。通勤客は「この光景が日常だ」と語る。
国連開発計画(UNDP)によると、2017年に約1割だったヤンゴンの貧困率は、クーデターを経た23年に約4割に上昇。約270万人に当たる。全国では人口約5450万人の半数が貧困に陥った。
バスの車内で封筒を受け取った乗客は渋々と小額紙幣を押し込み、少年に手渡した。首を振...
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