映画「アジアのユニークな国」より
 映画「アジアのユニークな国」より

 正しいことを正しく言う演劇や映画ばかりになっては、つまらない―。

 特にコロナ禍以降、「城山羊の会」主宰の劇作家で映画監督の山内ケンジは、そんな思いを抱えるようになったと語る。そこで「鋭く、とんがった作品を」と考え、新作映画「アジアのユニークな国」(スターサンズ配給)を生み出した。

 ロケ地は、東京都内にある山内の実家。その家の1階で義父の介護をしている主人公・曜子(鄭亜美)が、2階ではひそかに違法風俗を営むという、赤裸々な性描写も辞さない「とんがった」喜劇だ。政治にも家族にも社会問題にも敏感なようで、どこか無関心。「日本という変な国」の縮図を自らの実家の中に描出し、観客をシニカルな笑いの渦へと...

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