ダガー賞の翻訳部門に選ばれ、スピーチする王谷晶さん=2025年7月3日、ロンドン(共同)
 ダガー賞の翻訳部門に選ばれ、スピーチする王谷晶さん=2025年7月3日、ロンドン(共同)
 「ババヤガの夜」(河出書房新社提供)
 王谷晶さんの「ババヤガの夜」が掲載された2020年秋季号「文藝」(河出書房新社提供)
 ダガー賞授賞式後に、記者の質問に答える王谷晶さん。左は翻訳家のサム・ベットさん=2025年7月3日、ロンドン(共同)
 ロンドンの授賞式会場での王谷晶さん(河出書房新社提供)
 ダガー賞授賞式の会場(☆(○の中に小文字のC)Isac)
 ロンドン中心部の書店の棚に並ぶ「ババヤガの夜」の英訳版(共同)=2025年6月27日

 優れた推理小説、犯罪小説に贈られる英国推理作家協会賞の翻訳部門に王谷晶(おうたに・あきら)さんの小説「ババヤガの夜」英訳版「The Night of Baba Yaga」(サム・ベットさん訳)が選ばれた。「ダガー賞」として親しまれるこの賞にはこれまで、横山秀夫さんや伊坂幸太郎さんら人気作家がノミネートされたが受賞には至らなかった。日本の作家としては初の快挙だ。北野武監督作を想起させるような激しい暴力描写と、根底に流れる女性同士の連帯「シスターフッド」が高く評価された形だ。(共同通信・森原龍介、平川翔、山口晶子、米田亮太)

 ▽フィクションで描く女性の暴力

 「ババヤガの夜」の主人公は、暴力を振る...

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