
国立ハンセン病療養所「長島愛生園」にある、患者が消毒風呂に入り金品を没収された収容所=5月、岡山県瀬戸内市
岡山県瀬戸内市の国立ハンセン病療養所「長島愛生園」の見学クルーズが今年で10年を迎えた。船で島へ渡った患者の追体験をし、ハンセン病への関心を高めてもらおうと始め、定員が毎回埋まるほど好評だ。解説を担当する同園歴史館学芸課長の田村朋久さん(48)は「時代に即した形で、より多くの方にハンセン病の歴史を届けられるようにしたい」と話す。
5月下旬の土曜日午後、あいにくの雨が降る中、JR日生駅(同県備前市)前の乗船場から、クルーズの参加者約80人が船に乗り込んだ。カキの養殖に使ういかだや、島々が点在する瀬戸内海を進んだ。
出航から約1時間、長島と本土の間の約30メートルをつなぐ邑久長島大橋をくぐり島に...
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