
カフェで開かれたウクライナ民謡のコンサートで歌うタヤ・バルカロワさん=3月、札幌市(NPO法人「飛んでけ!車いす」の会提供)
3年前、ロシアの侵攻から北海道に避難したウクライナ出身のタヤ・バルカロワさん(20)が、今春から札幌市の大学に進学した。戦禍の母国に祖母を残してきたことの葛藤を抱えながらも、北海道の人々に支えられ、日本語の勉強や受験に挑んだ。大学では幼少期からの夢だった声楽を専攻。遊牧に出る家族への愛を歌った故郷の民謡に、祖母への思いを込める。
「初めて散歩した時のことを思い出して」。3月、札幌のカフェに悲しげな歌声が響いた。歌うタヤさんは、祖母バレンティナさんと歩いた故郷を思い出していた。野菜を採りに行った畑、夕日の沈むドニプロ川にかかる橋。あの橋はもう渡れない。空襲の標的にされるから。
日本に暮らすウク...
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