『もののけ姫』4Kデジタルリマスター IMAXプレミア試写会舞台あいさつに登壇した(左から)松田洋治、石田ゆり子、鈴木敏夫プロデューサー (C)ORICON NewS inc.
『もののけ姫』4Kデジタルリマスター IMAXプレミア試写会舞台あいさつに登壇した(左から)松田洋治、石田ゆり子、鈴木敏夫プロデューサー (C)ORICON NewS inc.

 スタジオジブリの名作『もののけ姫』が公開から28年を経て、最新技術を駆使した4Kデジタルリマスター版が完成。今週24日から全国のIMAXで上映される。これに先駆け、20日、東京・TOHOシネマズ新宿でIMAXプレミア試写会が開催され、舞台あいさつが行われた。登壇したのは、アシタカ役の松田洋治、サン役の石田ゆり子、そして、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー。作品への思いと当時の裏話を振り返った。

【動画】松田洋治&石田ゆり子が『もののけ姫』28年前の制作秘話を語る

 松田は「28年ぶりにこの大きなスクリーンで観られるのは感慨深い。IMAXの画質と音に期待しています」。石田も「28年もたって、このような形でまた『もののけ姫』を観られることをとても幸せに感じます」と笑顔。鈴木プロデューサーは「この映画がもう一度、あのヒットすることを願っています」と語った。

 オーディション時の秘話も披露された。松田は「事務所からスタジオジブリの新作オーディションがある、とだけ言われ、タイトルも知らずに行ったんです。説明を受けて、『主役のせりふを使ってオーディションするだけだろう』と思っていました。それっきり連絡もなく、年を越えて映画館で予告編を見た人から『洋治、主役なんだね!』と聞かされて初めて知ったんです。慌てて映画館に行って、自分の声が聞こえてきてびっくりしました(笑)」と明かし、会場を驚かせた。鈴木プロデューサーは「アシタカ役は悩んだが、最終的には『風の谷のナウシカ』でアスベル役がよかったことが決め手だった」と振り返った。

 一方の石田は「ジブリの鈴木さんが事務所にいらして驚いた。まさか自分にオファーがあるとは思わなかった」と当時を回想。鈴木プロデューサーは「高畑勲の『平成狸合戦ぽんぽこ』でヒロインのおキヨをやっていたでしょう。その時、あいさつした時の宮崎駿の顔を僕は見逃さなかった。鼻の下が伸びていた(笑)。声というより宮崎駿の“タイプ”だった」と冗談まじりに明かし、笑いを誘った。

 アフレコ現場では、宮崎監督の厳しい演出に苦戦したという。石田は「私は完全に“居残り授業”状態でした(笑)。みんなが終わっても私だけ残って…」と苦笑い。「(タタラ場を襲撃したサンを助け出すときに石火矢で撃たれたアシタカに)『お前死ぬのか』というせりふを“お前パンツ履いてないのか”くらいの軽さで言ってと言われて…。難解でした」と振り返り、当時の苦労をにじませた。

 松田は「この作品がなければ、今の自分はなかった」と語り、石田も「海外で『サンを演じた』と言うと尊敬される」と誇らしげに話した。

 鈴木プロデューサーは「お客さんに観てもらえることが何よりの喜び。映画は自分のためでなく観客のために作るものだと改めて感じた作品だった」と語った。

 『もののけ姫』は、1997年7月12日に初公開され、観客動員1420万人、興行収入193億円(※2020年の再公開により、現在は観客動員1500万人、興行収入201.8億円/興行通信社調べ)という前人未到の大ヒットを記録、社会現象を巻き起こした。

 主人公アシタカとサン、タタラ場に生きる人々、そしてシシ神の森に棲む神々の交錯する運命を描いたこの物語は、人間と自然の衝突という普遍的なテーマを投げかけ、国内外で高い評価を得ている。

 スタジオジブリ監修による4Kデジタルリマスター版は、映像の隅々にまで磨きがかかり、森の緑の深みやキャラクターの表情、壮大なアクションシーンが一段と際立つ仕上がり。IMAXでの上映では、高精細な映像と迫力あるサウンドが織りなす圧倒的な臨場感により、観る者はまるで物語の世界に入り込んだかのような没入体験を得られ、まさに“初めて出会う『もののけ姫』”を味わうことができる。