数年前、雨が降り始めて駆け込んだ喫茶店で、床の小さなモザイクタイルを新鮮に感じたのを覚えている。暗い空と対照的な色の鮮やかさに心が弾んだ。

 壁に飾られた美しいタイルを眺めると、絵に負けない存在感がある。テレビ番組で見た料理研究家の自宅キッチンには、まぶしいほど白いタイルが張られており、憧れを抱いている。

 子どもの頃にあったタイルといえば、風呂場やトイレなどの寒々とした光景が浮かぶ。今はタイルの形…

残り3099文字(全文:3316文字)