燕市の蓮沼彩さんが手掛けた爽やかな色のタイルトレーやコースター(写真映像部・立川悠平撮影)

 数年前、雨が降り始めて駆け込んだ喫茶店で、床の小さなモザイクタイルを新鮮に感じたのを覚えている。暗い空と対照的な色の鮮やかさに心が弾んだ。

 壁に飾られた美しいタイルを眺めると、絵に負けない存在感がある。テレビ番組で見た料理研究家の自宅キッチンには、まぶしいほど白いタイルが張られており、憧れを抱いている。

 子どもの頃にあったタイルといえば、風呂場やトイレなどの寒々とした光景が浮かぶ。今はタイルの形や素材は多様で、使い方も人それぞれ。トレーやコースターなどのタイル雑貨を楽しむ人も増えているようだ。

 「世界のタイル 日本のタイル」(INAX出版)によると、タイルは明治時代、文明開化の波に乗り、西欧...

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