
吉村洋文大阪府知事(49)は、新潟市中央区で新潟日報社のインタビューに応じた。開幕まで約5カ月となった大阪・関西万博について、海外館も含めて工事は間に合うとした上で「未来社会の羅針盤を示す万博にしたい」と語った。日本維新の会共同代表でもある吉村氏は、衆院選での維新の議席減について「党としての軸がぶれた。目指す方向を再確認する必要がある」と強調。11月17日告示の代表選に出馬するかどうかは「熟慮して決めたい」と述べるにとどめた。
-万博開催の意義は。
「1970年の大阪万博のように国威発揚ではなく、社会課題を解決する万博だ。『いのち輝く未来社会のデザイン』をテーマに約160カ国が集まる。世界には価値観や文化の違いがあるが、多くの人が交わって違いを尊重し合うことが大切だ。単純なテーマパークではない」
「見どころの一つは木製のリング。ビッグスワンが四つ入るくらいの大きさで世界最大級の木造建築になる。日本の木造技術を世界に発信できる」
-新潟県など関西以外の機運をどう盛り上げますか。
「来年大阪で万博をやる、くらいの認知度だ。中身を明らかにできない部分もあり、まだリアリティーがないのかもしれない。新潟の食や文化の魅力を会場内で展示する。万博の効果を日本全国に広げたい」
「新潟から30校以上の中高生が修学旅行で大阪に来ると聞いた。ぜひ万博に来て、未来をつくる子どもたちにこそ見てもらいたい」
-新潟県と大阪の交流をどう進めますか。
「大阪には世界遺産に登録された百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群がある。佐渡金山と世界遺産同士の連携ができればいい。大阪駅前にある新潟のアンテナショップで発信するなど、新潟の魅力が多くの人に伝わってほしい」
◆衆院選で苦戦、日本維新の会は「立て直し必要」次期参院選への対応は?
-維新は衆院選の新潟1〜3区に3人を擁立しましたが全敗でした。全国的にも苦戦しました。
「党の力が不足していた。日本維新の会はこういう政党だという軸がぶれていた。ややもすれば、政治とカネの問題で自民党に近いと思われてしまったのではないか。党の存在意義を見つめ直して、立て直すことが必要だ」
「自民への批判の受け皿になれなかった。大阪の小選挙区で全勝できたのは、実績を積んできたからだ。新潟でも地域で信頼を築くことが必要だ」
-2025年夏の参院選新潟選挙区への対応は。
「まだ決まっていない。党の立て直しが先だ」
-代表選への対応は。
「いろいろな声は届いている。ただ、衆院選の結果には、共同代表である僕自身にも責任がある。17日の告示までによく考えてどうするか決めたい」
-自民政権が掲げる地方創生が10年を迎えました。
「失敗ではないか。単に補助金を使った弥縫(びほう)策が多く、本当に地方が自立して成長する姿になっていない。新潟で言えば北信越くらいのエリアで経済圏をつくり、全国で多極分散型の社会を目指すべきだ」...