
新潟県十日町市の関口芳史市長(66)が、4月20日告示、27日投開票の市長選に5選出馬を表明した。表明の場は市議会3月定例会最終日で、告示が1カ月後に迫ったタイミングとなった。「熟慮し、決意した」との言葉に、去就を見つめてきた支援者らから「やっと表明してくれた」と安堵の声が上がった。一方で表明時期が遅いと疑問視する意見もある。
3月21日の市議会本会議で関口市長は「3月議会の議論を経て、ここで歩みを止めてはならないと感じた。熱意が日に日に強まった」と述べ、立候補を表明した。
関口市長の立候補表明で市長選は、2024年4月に出馬を表明した十日町市の不動産業、樋口明弘さん(77)と、13年、17年に続いて3回目の一騎打ちになるとみられる。
関口市長は市助役、三条市収入役を経て、2009年4月の市長選で、再選を目指す現職を破って初当選。13年の市長選は前年の12月に、17年は1月に、前回21年は3月市議会の冒頭で立候補を表明した。
今回、「ここまで引っ張って『辞めます』では、市民に対して無責任」(自民系市議)などと、出馬は既定路線との観測が主流だった。
3月市議会最終日までずれ込んだことに、市内の会社経営者は「再三続投を要請してきたので気をもんでいた」とした上で「表明時期としては遅過ぎる」と一言。後援会の一人は「出馬すると信じて待っていた。一気に動き出したい」と話した。

告示まで1カ月と遅い時期での出馬表明について、さまざまな見方がある。議会後の会見で関口市長は、多選批判を考慮しつつも、市政課題の解決を求める声に後押しされて決断したと説明した。
また、「タスキを誰かに渡せるかなと走ってきた」とも語った。当選して5期務めることになれば、歴代市長で最長を更新。多選や年齢を理由に、「市民にとって私でいいのかと熟慮」してきた関口市長。関係者の一人は「託すに値する若手が、立候補するかどうか見ていたのではないか」と推し量る。
一方で、市議の一人は「現職と戦うのは誰しも怖い。進退の表明がないなら、おいそれとは手を挙げられない」と指摘し、選挙戦術で表明を遅らせたとの見解だ。3月市議会の一般質問でも、現職の進退表明の遅れが選挙に影響を及ぼし、「新しいリーダーの出現が遅れる」との疑問が投げかけられた。

2024年4月に出馬を表明した樋口さんは、JR東日本信濃川発電所が6月30日に水利権更新を迎えるに当たって、地元への電気還元を訴える意見広告を地域紙に掲載。電気料金優遇による企業進出を促し、雇用確保や賃金上昇を実現するとしている。
そのほかに費用対効果を検証して事業を削減し、水道料金やごみ処分料の値下げに充てると主張。大地の芸術祭や地域おこし協力隊推進の見直しなどを訴え、4期16年の関口市政に反対する立場を鮮明...