県内の大学や専門学校などを今春卒業した学生らのうち、県内企業に就職した人の割合が51・7%だったことが14日、厚生労働省新潟労働局の調査で分かった。前年に比べ3・2ポイント減った。労働局によると、1986年3月卒の49・7%以来の低水準。全国的な人手不足による採用競争の激化や賃金格差、オンライン選考が定着したことを背景に、学生の首都圏などへの流出傾向が強まっているとみられる。県内でも人材確保が課題となっており、関係機関は県内企業の情報発信を強化して、県内就職率の向上に取り組む。

 労働局が3月末時点の状況をまとめた。大学、短大、専門学校などを今春卒業し、就職した9136人のうち、県内に就職したのは4723人。前年同月比で337人減った。内訳は大学生が1871人(同57人減)、専門学校生が2509人(同192人減)だった。

 県外に就職したのは4413人(同261人増)で、うち大学生は2623人(同189人増)、専門学校生は1650人(同87人増)だった。

 新潟労働局が県などとつくる新潟新卒者等人材確保推進本部の会合で報告した。出席した新潟大の土田啓子キャリア支援課長は、首都圏への就職が増えているとし、「オンラインでの面接などが定着し、地方からも就職活動がしやすくなった。企業の初任給引き上げや、福利厚生の充実を進めていることも一因」と指摘した。

 県経営者協会の徳武裕一専務理事は「県内企業はどこも人材確保が厳しい。選考が遅いという指摘もあるが、大企業の採用スケジュールにどう対抗していくのかは課題だ」と述べた。

 大学生らの県内就職率は近年、低下傾向にある。2016年は64・4%だったが、20年は55・2%まで低下。21年は新型コロナウイルス禍の影響で、就職活動が制限されたり、学生らの地元志向が高まったりしたため、前年を4・6ポイント上回る59・8%だったが、感染禍の落ち着きや首都圏など都市部との賃金格差などから、以後は58・8%、55・4%、54・9%と、今年を含め4年連続で減少している。...

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