小嶺達雄さんを撮る山城博明さん=2月、名護市
 小嶺達雄さんを撮る山城博明さん=2月、名護市
 集団自決のあった渡嘉敷島の山中=3月28日
 11万人が駆けつけた県民大会=2007年9月、沖縄県宜野湾市
 県庁で開いた写真展(山城さん提供)
 集団自決の現場を案内する吉川嘉勝さん=2月
 県民大会に登壇した吉川嘉勝さん=2007年9月
 平和ガイドとして案内する吉川嘉勝さん(本人提供)
 慰霊祭で手を合わせる吉川さん=3月28日

 沖縄県名護市のアパート。部屋の窓から2月の淡い光が差し込む中、報道写真家の山城博明さん(76)=南風原町=はかっと目を見開き、カメラのファインダーをのぞき込んだ。「パシャ」。シャッター音が響く。撮影しているのは、この部屋に住む男性の頭に残る傷痕だ。80年前、手りゅう弾を爆発させたり、棒やくわで家族を手にかけたりした沖縄戦の「集団自決」。2007年に教科書から「旧日本軍の強制」を示す記述が削除される問題が起き、今もインターネットには「軍の関与」を否定する言説がはびこる。山城さんは生存者の傷痕を撮影し、証言を発信してきた。歴史を修正する言動に怒りと危機感を抱き、平和ガイドになった自決の生存者もい...

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