
2025年4月26日、バチカンのサンピエトロ大聖堂で会談するトランプ米大統領(左)とウクライナのゼレンスキー大統領(ウクライナ大統領府提供・ゲッティ=共同)
ウクライナ戦争の開始時点から、米国は最重要の参加者だった。戦争の根本原因は、ロシアの国境近くまで北大西洋条約機構(NATO)を拡大させるという考えだ。
バイデン前米政権は、ウクライナを「プーチンのロシア」など独裁主義との戦いの場とみなし、戦争で「ロシアを戦略的に敗北させる」ことを目指した。だが、その目的は達成されなかった。
トランプ米大統領は、バイデン氏の遺産を引き継がないと決意し、ウクライナから手を引く方針に転じた。戦争に勝算はなく、自らに利益をもたらさない。政策転換は、論理的帰結だった。
だが事態は複雑だ。ウクライナは2004年の「オレンジ革命」以来、米欧の支援に依存し、米欧側はウクライ...
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