南日本放送の社長、会長を歴任した中村耕治さん。「みんなが見たいものより、伝えなきゃいけないことを伝えるのが、ジャーナリズムの基本ですよね」と語る=2025年4月、鹿児島市のMBC
 南日本放送の社長、会長を歴任した中村耕治さん。「みんなが見たいものより、伝えなきゃいけないことを伝えるのが、ジャーナリズムの基本ですよね」と語る=2025年4月、鹿児島市のMBC
 南日本放送の人気ローカル番組「てゲてゲ」と「どーんと鹿児島」(MBC提供)
 鹿児島市の甲突川沿いに立つ南日本放送の社屋(MBC提供)
 8・6豪雨から30年の2023年に「どーんと鹿児島」で放送された当時の映像(MBC提供)
 樹齢7000年以上と推定される鹿児島県・屋久島の「縄文杉」。中村耕治さんは「経済成長に取り残されたがゆえに、屋久島は自然が維持され、世界の価値になった」と指摘する=2023年9月

 テレビ離れが進み、ラジオを聴く人も減る中、市場の小さい地方局の経営は、東京のキー局よりも厳しさを増している。しかし、地方局は地域情報を伝える大きな役割を果たしており、その力が落ちれば住民の「知る権利」が損なわれる。地方局はどうやって生き残りを図るのか。放送界の論客として知られる鹿児島県の南日本放送(MBC)相談役の中村耕治さん(75)に尋ねた。(共同通信編集委員・原真)

▽ふるさとたっぷり

 MBCはテレビ・ラジオを兼営するTBS系列の局だ。従業員は約110人で、2023年度の売り上げは約49億円。典型的な地方局といえる。経営の現状はどうか。社長や会長を歴任した中村さんは言う。

 「ローカル局は、...

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