
高橋和夫・放送大名誉教授
イスラエルがナタンズのウラン濃縮施設を含め、イランの数十カ所の軍事施設を空爆した。イラン軍のバゲリ参謀総長や革命防衛隊のサラミ司令官も死亡したという。先制攻撃に踏み切った理由は三つある。
一つ目は4月12日から始まったイランの核開発を巡る米国との協議の遅れ。トランプ米大統領は「2カ月」の妥結期限を設けており、イスラエルのネタニヤフ首相は期限切れを口実にイランを攻撃した。
ネタニヤフ氏は「トランプ氏は最終的にイランに妥協するかもしれない」との不安を募らせていたとみられる。合意させないために先制攻撃し、交渉をつぶす狙いがあった。
二つ目はネタニヤフ氏の政治的苦境。汚職の罪で起訴され、パレスチナ自...
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