のと鉄道の「震災語り部観光列車」で乗客に被災体験を伝える宮下左文さん(右)=4月6日午前、石川県七尾市
 のと鉄道の「震災語り部観光列車」で乗客に被災体験を伝える宮下左文さん(右)=4月6日午前、石川県七尾市
 のと鉄道の「震災語り部観光列車」で、宮下左文さん(右)の話を聴く三陸鉄道の千代川らんさん=4月6日午前、石川県七尾市
 東日本大震災で被災した岩手県の三陸鉄道を視察し、「語り部」の研修を受ける第三セクターのと鉄道の社員ら=2024年7月(同鉄道提供)
 のと鉄道の中田哲也社長
 石川県七尾市を走行する「のと鉄道」の車両(右奥)。沿線では、地震で被災した家屋の解体作業が行われていた=4月5日
 のと鉄道・旧能登三井駅にあった行き先案内板の前に立つ山浦芳夫さん=4月4日、石川県輪島市
 災害で長期運休となった地方路線の例
 岩手県大船渡市内を走るBRT車両。震災前の線路跡に舗装された専用道を行き来する=2021年3月

 石川県の第三セクター、のと鉄道の観光列車内で、乗務員の宮下左文(みやした・さふみ)さんがあの日の体験を語り始めた。2024年の元日、乗務中に揺れに襲われ、乗客を駅から高台に避難させた―。涙交じりの説明に、家族で乗車した穴水町の女性(33)は「当時を思い出して涙が出た。復興はまだまだだと思っていたが、少しずつ進んでいると実感できた」と話した。

 能登半島地震で被災したのと鉄道は、全線で運行を再開してから1年となった今年4月6日、「震災語り部観光列車」の運行を始めた。七尾駅(七尾市)と穴水駅(穴水町)を結ぶ全長33・1キロ、約45分の間、語り部の乗務員が自身の経験を交え、沿線の被害や復旧の状況を伝...

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