
のと鉄道の「震災語り部観光列車」で乗客に被災体験を伝える宮下左文さん(右)=4月6日午前、石川県七尾市
石川県の第三セクター、のと鉄道の観光列車内で、乗務員の宮下左文(みやした・さふみ)さんがあの日の体験を語り始めた。2024年の元日、乗務中に揺れに襲われ、乗客を駅から高台に避難させた―。涙交じりの説明に、家族で乗車した穴水町の女性(33)は「当時を思い出して涙が出た。復興はまだまだだと思っていたが、少しずつ進んでいると実感できた」と話した。
能登半島地震で被災したのと鉄道は、全線で運行を再開してから1年となった今年4月6日、「震災語り部観光列車」の運行を始めた。七尾駅(七尾市)と穴水駅(穴水町)を結ぶ全長33・1キロ、約45分の間、語り部の乗務員が自身の経験を交え、沿線の被害や復旧の状況を伝...
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