
みずほリサーチ&テクノロジーズの安井明彦調査部長
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収が承認された。日鉄がUSスチールの普通株を100%取得し、完全子会社化する一方、米政府は経営の重要事項に拒否権を持つ「黄金株」を保有する形で折り合った。
トランプ米大統領は2024年の大統領選時には反対していたが、2025年1月に就任し、2026年11月に中間選挙を控える中、米製造業の復活に向けた具体的な成果を支持者に示す必要に迫られていた。
今回、関税によって外国からの輸入を難しくするだけでなく、外国からの投資を呼び込み、米国の製造業や雇用を守るとの公約を具現化し「政府がコントロールする」という保証も与えた。
一般の労働者は買収に納得する人もいるだろ...
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