相模湖・ダムの歴史を語り継いできた橋本登志子さんと「湖銘碑」=2025年1月
 相模湖・ダムの歴史を語り継いできた橋本登志子さんと「湖銘碑」=2025年1月
 向き合う負の歴史
 地図
 相模ダム=2024年12月
 相模ダムの工事現場=1946年8月

 神奈川県相模原市の山間にある相模湖。釣りやボート、冬はイルミネーションでにぎわう観光地だ。相模ダムは、県内に電気や水道を供給する貴重な水がめとなっている。湖とダムを造る戦時中の建設工事では、朝鮮人や中国人捕虜が強制動員され、日本人学徒を含む多くの労働者が命を落とした。

 そんな歴史が「攻撃」を受けたのは2020年のこと。ダムの歴史や犠牲者の名前を刻み、県が設置した「湖銘碑」が、何者かに傷つけられた。傷があったのは「当時植民地であった」「連れてこられた」と書かれている部分だ。

 湖のほとりで育った橋本登志子さん(75)はこの事件が起きる半世紀近く前から、地元有志で市民団体「相模湖・ダムの歴史を記録...

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