プログラムを受けた男性(手前)と受講を勧めた妻=2024年11月、福岡市
 プログラムを受けた男性(手前)と受講を勧めた妻=2024年11月、福岡市
 法務省外観
 性犯罪の再犯防止に向けた法務省のプログラムの表(懲役刑と禁固刑は6月から拘禁刑に一本化された)
 「ふくおか心理教育オフィス ヒュッゲ」で認知行動療法に基づくプログラムを受けた30代男性=2024年11月、福岡市
 法務省が2020年に公表した、プログラム見直しのために設置された検討会の報告書
 「ふくおか心理教育オフィス ヒュッゲ」のホームページ(金谷大哲さん提供)

 福岡県に住む30代の男性は中学時代、他人の家でのぞき行為をしてしまった。次第にエスカレートし、その後社会に出てストレスを感じると、衝動が増幅して常習的に住居侵入や盗撮を繰り返すようになった。そして2023年、警察から聴取を受けた。

 男性は妻に相談し、治療を受けることにした。取り組んだのは、心理療法の一つ「認知行動療法プログラム」。これは、出来事の捉え方を変えることで、そこから生まれる感情や行動をコントロールしようというものだ。

 被害者の尊厳を傷つけ、「魂の殺人」と呼ばれる性犯罪。再犯防止のため、受刑者らが心理療法を受けられる制度は国も導入しているが、その網は狭く、治療を受けられず再犯に走る例...

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