「救われてんじゃねえよ」を刊行した上村裕香さん=京都市下京区
 「救われてんじゃねえよ」を刊行した上村裕香さん=京都市下京区
 「書くのは苦痛の方が多いけれど、物語を考えるのは好き」と話す上村裕香さん
 「書くのは苦痛の方が多いけれど、物語を考えるのは好き」と話す上村裕香さん

 「女による女のためのR―18文学賞」受賞の話題作を収録した「救われてんじゃねえよ」(新潮社)を、作家の上村裕香さんが刊行した。小学生の頃から小説家を目指し、本書は念願のデビュー作。しかし、「今は求められるものを、粛々と書き続けていきたい」と気負いは感じさせない。

 「R―18文学賞」を受賞した表題作は、難病の母親を介護する女子高校生の沙智が主人公。いわゆる「ヤングケアラー」と呼ばれる存在の沙智だが、そういった安易なレッテルに対して「ある種のカウンターを放つつもりで書いた」のが本作だと言う。

 描きたかったのは「笑い」だ。どんなに悲劇的な状況でも「そこには喜劇的なものが点在しているはずで、それを精...

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