取材に応じる安藤照夫さん(仮名)=4月
 取材に応じる安藤照夫さん(仮名)=4月
 安藤照夫さん(仮名)の医療費明細。老人ホームは訪問看護だけで月に約49万円、1年に換算すると600万円近くを得ていたことになる
 主治医の桜木敬一さん(右)と話す安藤照夫さん(いずれも仮名)=4月
 安藤照夫さん(仮名)が暮らすホスピス型の有料老人ホーム=4月
 ホスピス型住宅の不正、過剰な訪問看護のイメージ
 安藤照夫さんが暮らす老人ホーム運営会社について話す別の地域の元スタッフ=4月
 安藤照夫さん(仮名)が暮らす老人ホーム運営会社が別の地域のケアマネに送ったファクス。訪問介護の回数や内容が事実上、決められていた
 東京都江戸川区から生活保護の高齢者が多数紹介されていた北関東の会社が本社を置く高齢者住宅=4月

 「もうここを出て、自由に暮らしたいけど、出られない」。関東地方の老人ホームに住む安藤照夫さん(69)=仮名=は、そう言ってうつむいた。安藤さんは「末期がん」ということになっているが、再発してから3年以上生きている。自分で歩くことができ、元気だ。

 ところが、ホームでは散歩も自由にさせてもらえないという。

 このホームは末期がんや難病の人を対象にした「ホスピス型住宅」と呼ばれるタイプ。運営会社は入居者へ訪問看護と訪問介護を提供しているが、安藤さんはほとんど必要性を感じない。生活保護を受けているため、全額が税金で賄われる。

 家賃を含めるとその額は年間約800万円に上るとみられる。本人が望まない生活に...

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