
林香里さん
国会議員の公設秘書から取材中に性暴力を受けたとして、記者だった女性が国を訴えた裁判で、東京地裁は4月、国に440万円の賠償を命じた。国は控訴せず、判決は確定した。事件から5年がたっていた。
女性記者に対する性暴力が、また一つ司法の場で認定された。さまざまな声を聞き、社会に伝えることが記者の仕事なのに、彼女たち自身の被害の声は、長く押しつぶされてきた。それだけに、記者の声の正当性が裁判所で認められた意義は大きく、未来に手渡すべき希望である。
民主主義社会の「知る権利」を支えるはずの記者の仕事が、なぜ性暴力の温床となってしまうのか。後を絶たない被害を受け、社会全体で根本から考え直す必要がある。
...
残り1536文字(全文:1836文字)