米軍がイランの核施設3カ所を攻撃した。イスラエルのネタニヤフ首相が待ち望んでいた展開だ。攻撃前にあったイランと欧州側の交渉に進展がなく、しびれを切らしたトランプ米大統領は圧倒的な軍事力でイランに屈服を迫る戦術に転じた。

 ただそれは、80年前の原爆投下で核時代を招来した米国の「核外交」の失敗、とりわけ核不拡散政策の挫折を意味する。

 確かに、核兵器開発につながるウラン濃縮を野放図に続け、国際原子力機関(IAEA)から違反を指摘されたイランには重大な瑕疵がある。

 それでも今回のてん末は、核拡散防止条約(NPT)未加盟の核保有国イスラエルとNPTの創設者である米国が、曲がりなりにもNPT加盟国のイラ...

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