日中関係への思いを語る林伯耀さん=2025年1月、神戸市
 日中関係への思いを語る林伯耀さん=2025年1月、神戸市
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 南京の地図
 中国天津市でドキュメンタリー映画「老華僑は黙らない(仮題)」の撮影に臨む林伯耀さん=2024年11月(撮影・江里口暁子)

 「どう殺したか、どれだけの女性に性的暴行をしたか、自慢するように話す元兵士もいた」

 怒りを押し殺すように語るのは、神戸市に住む在日中国人2世・林伯耀(りん・はくよう)さん(86)だ。象徴的な戦争犯罪として、南京大虐殺に関わった元日本兵らの証言を集めてきた。

 「はやし」と日本風に名乗り、200人近くを訪ねた。行為を悔やむ人もいた一方で、冒頭のように武勇伝として語る人も。林さんはあえて日本人の仲間にインタビューを任せ、撮影に集中した。そうやって、怒鳴りつけたくなる気持ちを必死に抑えた。

 活動がテレビで紹介されると「虐殺はなかった」との抗議が殺到し、林さんを悩ませた。生まれ育った日本で、華僑として...

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