東京都立大教授の阿部彩氏
 東京都立大教授の阿部彩氏

 国連児童基金(ユニセフ)による先進・新興国43カ国の子どもの幸福度調査が5月に公表された。日本は身体的健康は1位だが、精神的健康は32位、学力・社会的スキルは12位で、順位は前回からさほど変わっていない。総合順位は14位で、身体的健康は優等生、精神的健康は低く、スキルでは中間と言える。

 浮き彫りになったのは、格差の拡大と分布の底辺にいる子どもたちの状況だ。自殺に追い込まれる子どもや、肥満・痩せすぎの子ども、親の経済的資源が少ない層の学力など、一番厳しい状況に置かれている子どもが増えている。「平均的な」子ども、「すべての」子どもを念頭においた政策だけではなく、厳しい状況の子どもを救うという観点...

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