
片山善博氏
参院選を控えて各党が打ち出した公約にはいささか不満がある。どの政党も、もっぱら有権者の当面の歓心を買うことに夢中である。その一方で、国の将来を考えた時に当然関心を寄せなければならない、重要な課題や論点を避けているように見えるからである。
公約で各党が力を入れているのは、現金給付や減税であったり、ガソリン価格の引き下げであったりする。国民の生活支援は、物価高や実質賃金の低下などの事情を踏まえると、大いに議論されていい。ただ、課題はそれにとどまらない。足元の生活支援に勝るとも劣らぬ重要な課題がある。
▽人の奪い合い
その一つが人口問題である。厚生労働省の人口動態統計によると、2024年に生まれた...
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