
筆談で取材に応じる古山知恵子さん=2025年5月19日、新潟市
300人が見守るステージ上で、胎児性水俣病患者の古山知恵子さん(60)が静かにペンを走らせる。その文字はプロジェクターで会場に映し出され、支援者が読み上げた。
「私をこんな体にしてどうしてくれるんですか。私を生まれ変わらせてください」
発話が難しいため、被害者代表あいさつはこうした形をとった。
5月31日、新潟水俣病は「公式確認」から60年の日を迎え、式典「歴史と教訓を伝えるつどい」が行われた。初めて式典に参加し、あいさつを務めた古山さん。この日、原因企業のレゾナック・ホールディングス(旧昭和電工)と、政府に訴えたかったことがあった。
他の参加者たちも、長年の苦しみを政府にぶつけた。被害者の...
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