研究室で取材に応じる萩野恭子さん
 研究室で取材に応じる萩野恭子さん
 萩野恭子・高知大特任講師

 海にすむ植物プランクトンの中に、細胞の表面が石灰質の殻で覆われた「円石藻」というグループがある。2024年4月、その一種のイラストが米科学誌サイエンスの表紙を飾った。真核生物では初めて、窒素を直接取り込む能力を持つことが国際チームによって明らかにされたのだ。大発見の土台となったのは、チームの一員でもある高知大海洋コア国際研究所の萩野恭子特任講師(53)の培養技術だった。

 学名「ブラルドスファエラ・ビゲロイ」(以下ビゲロイ)。現生種だけでも300種以上が確認されている円石藻の一種で、大きさは100分の1ミリほど。一生のうちに姿を大きく変え、正十二面体の殻で覆われたサッカーボールのような形態の時...

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