長崎市の端島(通称・軍艦島)=2022年2月
 長崎市の端島(通称・軍艦島)=2022年2月
 日本政府が2020年に開設した産業遺産情報センター=2025年3月、東京都新宿区(同センター提供)
 長崎人権平和資料館の前に立つ新海智広前副理事長(左)と崎山昇理事長=2025年1月、長崎市

 長崎港(長崎市)から観光船に乗り40分ほど進むと、軍艦のような形をした島が現れる。端島(はしま、通称・軍艦島)は、大正時代以降に造られた高層建築の朽ちてゆくさまが人気で、観光客が増え続けている。

 この小さな島は10年前、ユネスコ世界文化遺産登録の審議の舞台で論争の的となった。韓国政府は第2次世界大戦中に朝鮮人の強制労働があったとして、登録に反対した。日本政府は「犠牲者を記憶にとどめるための措置」を約束し、登録にこぎ着けた。

 約束の施設「産業遺産情報センター」は、長崎から遠く離れた東京に完成した。記者が訪れると「朝鮮人への虐待や差別はなかった」と話す元島民のメッセージが並んでいた。展示全体で、...

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