葛飾北斎が描いた「千繪の海・五島鯨突」(国立文化財機構所蔵品統合検索システムより)
 葛飾北斎が描いた「千繪の海・五島鯨突」(国立文化財機構所蔵品統合検索システムより)
 著作「西遊旅譚」で、司馬江漢がスケッチした鯨漁の様子(国立国会図書館デジタルコレクションより)
 歌川広重の『諸国名所百景 肥前五嶋鯨漁の図』(国立国会図書館デジタルコレクション)
 「西遊旅譚」に描かれた鯨の骨を細かく砕く様子(国立国会図書館デジタルコレクションより)
 平戸市の生月島にある益冨家居宅跡=2025年5月4日
 南無阿弥陀仏を唱える勇魚取の様子を再現した平戸市生月町博物館・島の館の展示=2025年5月4日
 長崎県新上五島町の鯨見山に残る鯨供養塔=2024年5月3日
 島の館の中園成生館長=2025年5月4日

 日本が31年ぶりに商業捕鯨を再開して、7月1日で6年となった。商業捕鯨の源流に位置づけられるのは、江戸時代に行われていた古式捕鯨業「勇魚取(いさなとり)」だ。

 今の長崎県沿岸は、当時最良の漁場とされ、日本最大規模の鯨漁集団「益冨組」など多くの鯨組が拠点を置いていた。

 長崎に残る勇魚取の史跡を訪ねると、昔の人たちが、近年盛んに唱えられるようになった持続可能な開発目標(SDGs)のライフスタイルを先取りし、仕留めた鯨に敬意を払い供養していた様子も目に浮かんできた。(共同通信長崎支局長=下江祐成)

 ▽荒海に飛び込み20メートルの鯨を捕る

 鯨に向かってミサイルのように銛(もり)を打ち込む捕鯨砲や、船...

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