
葛飾北斎が描いた「千繪の海・五島鯨突」(国立文化財機構所蔵品統合検索システムより)
日本が31年ぶりに商業捕鯨を再開して、7月1日で6年となった。商業捕鯨の源流に位置づけられるのは、江戸時代に行われていた古式捕鯨業「勇魚取(いさなとり)」だ。
今の長崎県沿岸は、当時最良の漁場とされ、日本最大規模の鯨漁集団「益冨組」など多くの鯨組が拠点を置いていた。
長崎に残る勇魚取の史跡を訪ねると、昔の人たちが、近年盛んに唱えられるようになった持続可能な開発目標(SDGs)のライフスタイルを先取りし、仕留めた鯨に敬意を払い供養していた様子も目に浮かんできた。(共同通信長崎支局長=下江祐成)
▽荒海に飛び込み20メートルの鯨を捕る
鯨に向かってミサイルのように銛(もり)を打ち込む捕鯨砲や、船...
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