1968年8月の中日戦で16奪三振のセ・リーグタイ記録を達成した江夏豊さん=中日
 1968年8月の中日戦で16奪三振のセ・リーグタイ記録を達成した江夏豊さん=中日
 1973年8月、ノーヒットノーランを記録した中日戦で江夏豊さん(中央)は延長11回に自らサヨナラ本塁打を放ってホームイン=甲子園
 1979年9月の阪神戦で600試合登板を達成した江夏豊さん。広島の初の日本一に貢献したシーズンだった=甲子園
 1981年8月の西武戦で20セーブ目を挙げて笑顔の江夏豊さん。日本ハム移籍1年目でセーブ王に輝き、チームをパ・リーグ制覇に導いた=西武
 1984年2月、西武のキャンプで投球練習する江夏豊さん。日本で現役最後のシーズンとなった=米アリゾナ州メサ
 2023年4月、インタビューに応える江夏豊さん=東京都目黒区で撮影
 1968年の江夏豊さん。大阪学院大高から阪神に入団して2年目ながら25勝で最多勝に輝き、シーズン401奪三振のプロ野球記録もマークした。

 プロ野球のレジェンドに現役時代や、その後の活動を語ってもらった連続インタビューの蔵出し企画「名球会よもやま話」。第51回は2度目のご登場となる名左腕の江夏豊さん。オールスター戦の9連続奪三振や、日本シリーズの「江夏の21球」などの名場面に彩られた球歴は、努力と工夫の結晶に他なりません。(共同通信=栗林英一郎)

 ▽忘れられない3月15日のめった打ち

 僕は野球少年でもなかったし、全然野球が好きじゃなかった。小学5年の時やったかな、兄が初めてグラブを買ってくれたんです。それが左利き用で、何でこんな(利き腕と)反対のグラブを買ったんやと言うたら、兄貴はニヤッと笑って「左がええんじゃ。左でやれ」。なぜ...

残り3483文字(全文:3783文字)