
「小学5年生だった1970年、大阪万博に通いました。その公式ガイドブックの奥付を見て、電通という会社があると知ったんです」と話す奥律哉さん=2025年5月、東京都港区の共同通信社
「テレビ離れ」が指摘されて久しい。実際のところ、人々はどのようにテレビを見ているのだろうか。広告会社の電通で長年、視聴者の動向を研究してきたメディアビジョンラボ代表の奥律哉(おく・りつや)さん(66)が、メディア接触の地殻変動ともいうべき現象を解説する。(共同通信編集委員・原真)
▽地デジ化で受像機減る
奥さんによれば、テレビの見方は、大きく三つの要因で変わった。
一つ目は、地上テレビ放送のデジタル化、いわゆる地デジ化だ。2003年、関東・中京・関西地区でデジタル放送が始まり、2012年までに、東日本大震災の被害が大きかった東北3県を含め、全国でアナログ放送が終了した。奥行きのあるブラウン管の...
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