東京都議選の街頭宣伝で旭日旗を振る支持者と、「差別をやめろ」と声をからしプラカードを掲げて抗議する人たち=6月15日午後、東京都杉並区のJR高円寺駅前
 東京都議選の街頭宣伝で旭日旗を振る支持者と、「差別をやめろ」と声をからしプラカードを掲げて抗議する人たち=6月15日午後、東京都杉並区のJR高円寺駅前
 団体に届いたヘイトメールを示す「在日クルド人と共に」代表の温井立央さん=6月15日昼、埼玉県蕨市
 「在日クルド人と共に」事務所に届いた脅迫の手紙
 「在日クルド人と共に」の日本語教室で勉強するヤマンさん=6月15日午後、埼玉県蕨市
 差別を禁止する法律が必要だと訴える師岡康子弁護士(中央)。左は安田浩一さん、右は温井立央さん=6月15日夜、埼玉県川口市

 なぜそこまで嫌われ、攻撃されるのか。なぜ止められないのか。どれくらいの日本人が悪感情を持っているのか―。埼玉県南部の川口市、蕨市に多く暮らすクルド人たちは、おびえきっている。歯止めのきかない憎悪は、ネットだけでなく日常生活に、選挙にもあふれ出した。

 6月15日午前、JR蕨駅近くのビルの一室に、在日クルド人や、支援する市民たちが集まってきた。毎週日曜に市民団体「在日クルド人と共に」が開いている日本語教室だ。和気あいあいとした集まりだが、団体の代表、温井立央さんの顔は晴れない。

 「正直、きりがない。気にしないように振る舞っていても少しずつ心にダメージがたまります」

 きりがないとは、激しさを増すヘ...

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