松井敦典・鳴門教育大大学院特命教授
 松井敦典・鳴門教育大大学院特命教授

 義務教育の水泳授業が岐路に立っている。小中学校のプールは老朽化が進み、自治体は改修の予算捻出に苦慮する。教職員の負担や猛暑も問題となっている。小学校では民間スポーツクラブへの委託が進み、中学校では授業を廃止する自治体もある。今こそ水泳授業の重要性を認識し、充実させる方策を取るべきだ。

 学校での水泳授業が定着したのは、1955年に香川県沖で起きた客船沈没事故で多くの子どもが犠牲となったことがきっかけといわれる。水難で溺れないための訓練を学校で行う機運が高まった。

 現在の学習指導要領では小学1年から中学2年まで、水泳の実技が必修となっている。学校プールは経済成長期に普及が進み、2000年代には約...

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