寒くなると「朝の血圧」が上がる、約1万5千人のデータで確認

オムロン ヘルスケア株式会社(本社所在地:京都府向日市、代表取締役社長:岡田 歩、以下当社)は、当社の健康管理アプリ「OMRON connect(以下オムロンコネクト)」と接続する家庭用血圧計から収集された約1万5千人分の記録を分析し、朝の血圧値と季節変動、また地域別の血圧変動を調査(以下、本調査)しました。その結果、朝の血圧は気温の変化に合わせて変動しており冬季は夏季と比較して収縮期血圧の平均値*1が4.2 mmHg高くなることや、年代が上がるにつれ、年間を通じた収縮期血圧とその変動幅も高いことがわかりました。

 

■調査背景

2025年7月25日(金)、日本高血圧学会より新たな「高血圧管理・治療ガイドライン(JSH2025)」が正式に公表されました。今回の改訂では、従来の「140/90 mmHg以上を高血圧とする」定義に加え、75歳以上の血圧降圧目標を10mmHg下げ、年齢に関係なく「130/80 mmHg未満」とし、より厳格な管理の必要性が強調されています。また、日本高血圧学会は 2025 年に「早朝高血圧徹底制圧宣言」を発表し、社会全体での早朝高血圧の予防と改善に向けた新たな取り組みを開始しました。行動変容を促す施策として「血圧朝活キャンペーン」などを掲げ、家庭での定期的な血圧測定の重要性を改めて呼びかけています。こうした取り組みを踏まえ、当社では蓄積された家庭血圧データを基に、130/80 mmHg未満のユーザーの割合や季節・地域ごとの変動傾向を分析し、啓発につなげるための調査を実施しました。

 

■「朝の血圧」は気温の変化にあわせて変動している

高血圧は長期的に健康へ悪影響を及ぼす疾患として知られています。その中でも起床後1、2時間以内の血圧が高い状態は「早朝高血圧」と呼ばれ、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを大きく高めると言われています。特に気温が低くなる冬場には、血圧が上昇する傾向にあることが一般に知られています。

当社が2024年6月〜2025年5月にかけて収集した血圧データ(N=15,043件)を分析したところ、やはり外気温の低下とともに、朝の血圧平均値が上昇していることがわかりました。具体的には、朝の時間帯に測定された収縮期血圧の平均値*1が一番低かった7月の123.7 mmHgに対して、一番高かった12月では127.9 mmHgと、4.2 mmHgの上昇が確認されました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509175315-O2-WulafxqB

*1 収集したデータから収縮期血圧を抽出

対象期間中、月あたり10日以上、かつ測定日において朝(4:00–9:59)と晩(19:00–翌1:59)の両方で1回以上測定があるユーザーを対象とした。朝は最も早い測定から10分以内の最大2回を平均して朝の血圧とし、晩は最も遅い測定から10分以内の最大2回を平均して晩の血圧とした。

 

■年代が高くなるにつれ、年間を通して収縮期血圧も高い(年代別の季節変動)

さらにこの季節変動を年代別に分析したところ、血圧は年代が上がるにつれて年間を通して高くなり、季節変動の幅も大きいことがわかりました。この結果から、年齢が高くなるほど冬季における血圧変動への注意が重要であることが明らかとなりました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509175315-O3-DI3mdsgH

 

このような現象の背景には、寒冷刺激による血管収縮と交感神経の活性化が大きく関わっている可能性があります。起床時、人の体は交感神経の活動が高まることで血圧が自然と上昇しますが、冬季にはこれに加えて気温の低さが血管をさらに収縮させ、血圧を急激に押し上げる要因になります。

 

■専門医からのコメント

家庭血圧の季節変動について研究している浅山 敬医師(帝京大学 医学部 教授)も、次のように警鐘を鳴らしています。

「寒い時期は、ただでさえ血圧が上がりやすいことが知られていますが、今回の約1万5千人の詳細な家庭血圧のデータからもはっきりと示されました。朝は、起床後に血圧が高くなることが多く、そのためもあって脳卒中や心臓病にもっとも罹りやすいのは冬の明け方といわれています。朝の家庭血圧は、冬だけでなく一年を通して、一人ひとりがしっかり測り、適切に管理すべき重要な指標です。」

 

【トピックス】

■都道府県別にみた季節ごとの朝の血圧の変化

また都道府県別に季節ごとの朝の血圧変化を示したところ、下記図のような地域差がありました。季節を通して、血圧コントロール目標(130/80 mmHg)をこえる人の割合が高い地域(高知県、和歌山県など)がある一方で、低い地域(鹿児島県、大分県など)もあることがわかりました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509175315-O4-z6otyy0b

*収縮期血圧が130 mmHg以上または拡張期血圧が80 mmHg以上のユーザーの割合を、居住地(都道府県)ごとに算出した。割合は、(条件に該当するユーザー数 ÷ 当該都道府県のユーザー数)×100で求めた。

 

■家庭でできる「早朝高血圧」対策:今日からできる3つの予防行動

・起床後1時間以内に、毎日同じ時間・姿勢で血圧を測定しチェック

 → 週に1~2回では変動を把握できません。記録も忘れずに。

・室温を20度前後に保つ・暖房のタイマー設定で朝の寒さを緩和

 → 脱衣所やトイレの寒さも血圧上昇の原因になります。

・就寝時の保温(腹巻・靴下・保温寝具)+起床時はゆっくりと行動を

 → 急に起き上がると血圧が跳ね上がりやすくなります。

このような日々のセルフケアと家庭血圧測定の習慣化が、重篤な疾患を未然に防ぐ鍵となります。

 

当社は、これからも事業ビジョンである「脳・心血管疾患発症のゼロ(ゼロイベント)」の実現に向けて、誰でも簡単に正しく測定できる機器と健康管理に役立つサービスの提供を通じて人々の健康に貢献していきます。

 

■全国「血圧朝活」キャンペーン 

日本高血圧学会では、全国民に向けて「あぶない早朝高血圧!血圧朝活」キャンペーンを実施しています。このキャンペーンは、「測ろう! 下げよう!! あなたのリスク!!!」(Know and Lower Your Risk!)というスローガンを掲げ、早朝高血圧の発見と抑制を呼びかけます。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202509175315-O5-Mj7jNKfB

 

 

日本高血圧学会「早朝高血圧徹底制圧宣言 2025」

https://www.jpnsh.jp/files/cms/816_1.pdf

 

 

■健康管理アプリ「OMRON connect」の概要

当社の通信機能付き機器で測定したデータを転送すると、グラフやカレンダーで測定結果を確認することができます。服薬や飲酒などの生活習慣を血圧データと一緒に管理できる「かんたん血圧日記」や、過去1週間分の血圧データを家族などと共有できる「血圧お知らせ定期便」、「かんたん朝晩ダイエット」など健康管理に役立つ機能を搭載しています。また、血圧計や、心電計、体重体組成計、活動量計、体温計、パルスオキシメータなどで測定したデータを一括して管理できます。

URL:https://www.healthcare.omron.co.jp/smp_omronconnect/