【2022/7/16公開】 

この記事のポイント

■節電のために無理はしない。体にあった温度調整を

■設定温度を1度高くすると、消費電力を約10%抑えられる

■始動時は風量を強く、適温になったら弱風に

■暑さを感じる時は「温度」よりも「風量」を強める

■睡眠時は「除湿、28度設定」

 猛暑が続く中、エアコンの冷房は熱中症予防のためにも必要だ。一方で、今年は政府が7年ぶりに全国規模で節電を呼びかけ、高騰続きの電気代も悩ましい。効率よくエアコンを使う方法について、製造メーカーコロナ(三条市)の空調家電チーム技士補、藤田秀穂(ひでほ)さん(36)に聞いた。

 藤田さんは「日中や就寝時など、小まめに温度設定を調節してほしい」と呼びかける。エアコンは設定温度を1度高くすると、消費電力を約10%抑えられるという。ただし、節電のために無理はせず、政府が室温の目安とする28度を意識しつつも「体の状態に合う温度に設定することも大事」と強調する。

 日中の使用では「風量や風向の調節」もポイントだ。始動時は風量を強く、適温になったら弱風に切り替えることで効率よく冷やすことができる。始動時から弱風で運転すると、設定温度に達するまでに時間がかかり、結果的に電力を多く消費するという。手動調節が難しい場合は、風量の「自動運転」がお勧めだ。

 使用中に暑さを感じる時は風量を強くして涼感を得る方法もある。「設定温度を下げるより、省エネ効果も期待できる。使い方の一つとして検討してほしい」とアドバイスする。

 風向は上向きで、冷風が水平に吹き出すように設定する。弱風になった時はサーキュレーターや扇風機で空気を循環させると効果的だ。置く位置はエアコンの下付近が良い。

 エアコンは設定温度と室温に差があると、急いで冷やそうとして電気を多く使ってしまう。電源のオン・オフを繰り返すよりも、温度調節で適温を維持する方が無駄な消費を防げる。部屋を30分程度離れる場合なら「稼働したままの方がいい」と話す。

 就寝時は、寝る前に寝室を冷房運転で冷やしておき、睡眠時は「除湿運転、28度設定」を勧める。除湿運転はゆっくり温度を下げるので体への負担が少なく、風量が弱いので喉を痛めにくい。同じ温度設定での冷房より節電できるメリットもあるという。エアコンとサーキュレーターの風は、体に直接当たらないようにしよう。

 より節電効果を高めるには、温度調節以外も注意したい。帰宅して、室内が外気よりも暑いと感じたらまずは換気を。強い直射日光を遮るために、窓にレースカーテンや遮熱シート、すだれを使うのも効果的だ。2週間に1回程度のエアフィルター掃除や、室外機の周りに物を置かないことも大事だという。

 藤田さんは「まずは熱中症に気を付け、節電を意識してエアコンを使ってほしい」と話した。