
ベトナムの人材送り出し機関の提携校を訪ねる花角英世知事(中央)ら県訪問団=ハノイ
新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けた日本の水際対策が昨年10月に大幅緩和され、「ウィズコロナ時代」の国際交流が始まった。新潟県の花角英世知事は1月10日から15日まで、タイ、ベトナム、シンガポールを歴訪。新潟県内企業団も加わり、成長著しい東南アジア市場で「Niigata」の印象を強めようと売り込んだ。訪問団は「インバウンド(訪日客)拡大」「人的・経済交流の振興」「県産農産品PR」を狙ったが、新潟県の知名度の低さなど課題も見えた。訪問団に同行し、感染禍での海外戦略の展望を探った。(3回続きの2)
新潟県の花角英世知事と県訪問団は1月12日、ベトナム・ハノイ郊外の短大を訪ねた。校門に法被姿のベトナム人学生がずらりと並び、笑顔で迎えた。ある訪問団メンバーは熱烈な歓迎に「すごい演出だ」と声を上げた。
この短大は日本に技能実習生らを派遣する人材送り出し機関「エスハイ」(ホーチミン)の提携校だ。日本での就職を希望する若者が同校で日本語を学んでいる。花角知事は学生らを前に「ぜひ皆さんに新潟の企業で活躍していただきたい」と呼びかけた。
▽熱烈歓迎、人材受け入れへの期待
熱烈な歓迎の裏には、多くの人材を新潟県に受け入れてほしいとの期待が込められていた。同社は日本でキャリアを積んだ後に母国で起業家になるような人材を、2030年までに3万人育成する計画を掲げる。壮大な目標を達成するには日本の行政や企業の援助が欠かせない。
県内では近年、ベトナム人技能実習生が増加している。新潟労働局によると県内の実習生は3647人で、このうちベトナム人は...
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