
魚介類卸売業の堀川鮮魚(新潟市中央区)は、老朽化した本町通6の本町営業所を建て替え、新装オープンした。新たに加工場を設け、一般客向けに魚の総菜を充実させた。新潟市中心部での対面販売を通じて、魚の地産地消や地域の盛り上げにも貢献していく。
本町営業所は創業の地でもある、本町通りと小原(おばら)小路が交差する角に立つ。旧店舗は2023年8月に閉店。近所での仮設店舗の運営を経て、11月中旬に新店をオープンした。1階に売り場と加工場、2階に事務所を設け、旧店舗のシンボルだった大きなタイの看板も、雰囲気をそのままに新調した。
飲食店との取り引きが中心だが、新店では一般客へのアプローチを強化する。
総菜を拡充し、新たに弁当の販売も始めた。ネット通販のみで販売していた自社ブランド「魚河岸膳」も並べた。魚介類を食べやすく加工した商品で、総菜と合わせて消費者の「時短ニーズ」に応える。

堀川鮮魚は1930(昭和5)年創業。55年の新潟大火で全焼し、翌年に新店舗が完成した。以来、70年近くにわたって親しまれてきたが、建物や設備が老朽化していた。
堀川明彦社長(65)は「お客さまが快適に買い物でき、従業員が安全に働ける環境づくりが必要だ」と店舗の建て替えを決めた。原材料高などで業界の価格競争が激しくなっていることもあり、付加価値を付けた商品づくりを強化したいという考えもあった。
新設した加工場には総菜用の設備のほか、「プロトン凍結機」を導入。食材の鮮度を保ったまま冷凍できるもので、魚をさばいて冷凍し、県外の業者に販売する計画も進んでいる。堀川社長は「人手不足で、業務用にもさばいた魚の需要が高まっている。冷凍することで、新潟の海産物を安定的に提供することができる」と展望を語る。
堀川鮮魚は本社機能がある新潟市中央卸売市場(江南区茗荷谷)と本町営業所の2拠点体制だが、登記上の本社は本町営業所の住所に置いている。堀川社長は「祖父が店を開いたゆかりの地を大切にしたい」と明かす。

本町通6の商店街は「新潟市民の台所」と称される。「『食材を買うなら本町』という人は多く、商売をする上での支えになっている。顧客の期待に添えるように地域密着でがんばりたい」と話している。
午前10時〜午後4時半。日曜祝日、水曜定休。問い合わせは本町営業所、025(225)4121。
◆「新潟市民の台所」に再びにぎわいを!渡辺鮮魚店も新店舗出店
本町通6の商店街ではイトーヨーカドー丸大新潟店の閉店が2025年1月に迫る。中心市街地の空洞化が指摘される一方、周辺では近年、堀川鮮魚以外にも新しい店がオープンしており、地域活性化に一役買っている。
1912年創業の渡辺鮮魚店は2023年10月、商店街に2号店を出店した。魚やタコのかわいらしいイラストが目印だ。

元々、商店街にあった本町食品センター内で営業していたが、...