コメのデザート「リオレ」を仕上げるUOZENの井上和洋シェフ=三条市
コメのデザート「リオレ」を仕上げるUOZENの井上和洋シェフ=三条市

 米どころとして知られる新潟。海外での和食の広がりや国内での米価高騰・品薄などでコメに注目が集まる中、新潟県の資源であるコメを武器に、付加価値を高める動きが相次ぐ。おにぎりなどはインバウンド(訪日客)で人気を集め、誘客や活性化のコンテンツとなる可能性を秘める。重点企画「NEXTコンテンツ潮流」の第1シリーズは、コメを強みに、新たな発想や工夫で価値を創造するクリエーティブな動きを追う。(9回続きの9)

 コース料理の締めはコメのデザートを-。ミシュラン二つ星のフランス料理店「UOZEN」(三条市)が春を中心にふるまう、コメを牛乳で炊く「リオレ」が個性的で人気を集めている。鍋をゆっくり火にかけ、砂糖を足して作る。果物のソースのフレッシュな風味と、むちっと弾力がありコメではないような食感が特徴的だ。

 「フレンチのアプローチだからこそ、和食とは違うコメの伝わり方がある」。妻の故郷で2013年にUOZENを開いた井上和洋シェフ(49)は、三条市下田地区産のコシヒカリを使う。リオレの他にも、ポン菓子のようなパフにしたり、せんべい状にしたりと料理のアクセントに用いている。

 「新潟の自然に入るところから調理が始まる」とうたい、フランスからの輸入食材ではなく、地元の食材が中心。冬に井上さん自ら狩猟するジビエ(野生鳥獣肉)が象徴的だ。中でも「新潟のマガモは日本一だと思う。日本海側を飛ぶマガモは田んぼにこぼれたコメを食べるため、雑味がない」とし、コメとの相性もいいとする。

コメを使ったデザート「リオレ」=三条市

 コースで1万6千円(税、サービス料別)。安価ではないが、7〜8割は県外客で、中国やシンガポールなど海外客も増えている。「わざわざ来てくれる人に、新潟の風土を感じてもらいたい」と井上さん。店は23年にリニューアルし、席数を6席に減らした。客とじっくり向き合い、新潟県の魅力を一皿にのせてもてなしている。

◆雪国こそ輝く食文化

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