べーガムTVのスタジオで収録前に準備するグラリ・カリミ(中央)とハミダ・アマン(右)。番組でスカーフをかぶるかどうかは出演者の意思に委ねている=2025年4月、パリ(撮影・沢田博之、共同)
 べーガムTVのスタジオで収録前に準備するグラリ・カリミ(中央)とハミダ・アマン(右)。番組でスカーフをかぶるかどうかは出演者の意思に委ねている=2025年4月、パリ(撮影・沢田博之、共同)
 アフガニスタンで運営する地下学校について話すパラスト・ハキム。「女性が教育を受ければ、家族がタリバンのような考えを持つことを決して許さないだろう」=2025年4月(撮影・沢田博之、共同)
フランス・パリ、アフガニスタン・カブール

 フランス・パリ北部のビルの一室。小さな撮影スタジオで、色鮮やかな刺しゅうが施されたアフガニスタンの民族衣装姿のグラリ・カリミ(24)に、上下黒で統一したパンツスタイルのハミダ・アマン(52)が話しかけた。「きょうはどんなランダイを選んだの」「恋愛物と人々の団結をうたったものにしました」

 ランダイはアフガンの詩形式の一つ。パシュトゥー語の短詩で女性が詠む。カリミはアマンが創設した衛星放送局「ベーガムTV」でランダイを紹介する番組を担当する。その収録日だった。

 南アジアで女性への敬称となる「ベーガム」を名に冠したテレビ局は2024年3月、パリから約5千キロ離れたアフガンに向けて放送を開始した。2...

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