
ビゲロイを顕微鏡で観察する萩野恭子さん
「子どものころから星空が好きでした」
そう話す萩野恭子さんがビゲロイと出合ったのは高知大4年のころ。卒業論文で東北沖の海流と円石藻の関係を調べることになり、試料の海水に偶然含まれていたのが生きたビゲロイだった。化石ではよく目にするが、生きたものは非常に珍しく「幻の円石藻」とも呼ばれる。顕微鏡で見ると暗い背景に幾何学的な姿が光って浮かんだ。「まるで星空を見ているよう」。一目で魅せられた。
北海道大の研究員として国内各地で海水を採取してはビゲロイを調べていた2007年、担当教員から「細胞を切って中を観察しよう」と提案された。特殊な装置でスライスして電子顕微鏡をのぞくと、見たことのない丸い構造があ...
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