
米領サモア・トゥトゥイラ島西部のビーチにたたずむジャイヤ・サエルア。「サモア文化の寛容さを世界に伝えたい」と語る=2025年4月(撮影・プア・トファエオノ、共同)
夕日に輝くビーチを歩きながら、ジャイヤ・サエルア(36)が約14年前の試合を振り返る。「一瞬の判断だった。転がってきたボールに向かって必死に足を伸ばした。『届かなかったら負ける』。そう思った」
南太平洋に浮かぶ米国の準州・米領サモア。2011年にサッカー男子ワールドカップ(W杯)オセアニア予選の代表チームでジャイヤは活躍した。米領サモアは過去の試合で全敗していたが、トンガ相手に2対1で初の白星を挙げた。ジャイヤは得点をアシストし、守備でも土壇場でボールをクリアして勝利を確実にした。
ただ注目されたのは試合結果だけではなかった。ジャイヤはサモア文化に深く根差した「ファファフィネ」。男性として生...
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