
培養したビゲロイの入った容器を手にする萩野恭子さん
家族の助けを借りながらの海水採取は、鳥取での6年間で232回に及んだ。萩野恭子さんはその結果を基に、ビゲロイが現れやすい時期や場所を家族連名の論文としてまとめた。「この時期がなければその後の成果はなかった」と振り返る。
2012年、米国の研究チームが「UCYN―A」という細菌がビゲロイに窒素を供給しているという論文を発表。萩野さんはかつて見た「丸い構造」がこの細菌ではないかと考え、翌13年、細胞内でUCYN―Aが共生していると結論づける論文を発表した。
夫の異動に伴い14年、高知大に戻ったが、培養は苦戦が続いていた。細胞内でUCYN―Aが分裂する様子を調べたいのに、ビゲロイはすぐに死んでしま...
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